おつきあいしたい女性にラブソングをささげる、「ハラナ」という伝統文化が、フィリピンにはあります。
今回は、どうやってラブソングをささげるのか?についてまとめました。
近年、ハラナの文化はなくなってきています。
それでも、「どんな文化か興味がある!」とか「ちょっとやってみたいかも…」という方には、ぜひ読んでもらいたいです。
ハラナとは?
ハラナを理解するには、まず「リーガウ」について知っておく必要があります。
リーガウとは、男性が好きな女性やその家族に交際をOKしてもらうために、アピールすることです。アピールの方法は、お手伝いをしたり贈りもをあげるのが一般的です。
このアピールの期間(リーガウの期間)は、短くて数日、長くて数年つづきます。
そのためリーガウは、時間をかけて男性が女性に交際を申し込むことともいえます。
リーガウついて、くわしくはこちら↓
現代のリーガウは、男性が女性に「リーガウしてもいいですか?」ときいて、OKされると始まります。
ただ、むかしはラブソングをささげながらリーガウを申し込むのが普通だったそうです。
これが、ハラナです。
ハラナは、「ラブソングをささげながら、交際を申しこむこと」とよく説明されます。ただし、ハラナが成功しても、まだ正式な仲とは言えません。
まだ、リーガウが待っているからです。
いつ、どこで?
ハラナは一般的に週末の夜、女性の家の外で歌うものです。(夕食後にすることが多いと聞きます。)
もっと具体的に言うと、女性がいると思われる部屋の窓に向かって歌うようです。歌いながら、女性が窓から姿をみせてくれるのを待ちます。
ただし、今この通りにやると様々な問題が発生する可能性があるので工夫する必要がありそうです。
現在、ハラナをする男性は少数派
残念ながら、ハラナの文化は絶滅に近い状態かもしれません。
マニラでは、1~2パーセントくらいの男性しかやっていないのではないかと、地元の人が言っていました。若い世代だと、両親もやらなかったという人が多いです。
それでも、ハラナの文化がまだ生きている地域もあるそう。
とくに田舎では、伝統的なハラナがそれほど珍しくない地域があるとか。
(現在では、場所やスタイルにあまりこだわらないハラナもあります。)
女性はハラナをどう思ってる?
フィリピンの都会の女の子に「もし、ハラナをされたらどう思う?」と聞くと、「優しさはうれしいけど、正直はずかしい」と言っていました。
いっぽうで、「ロマンチックだから、うれしい」という女性も中にはいます。
こうした伝統文化に日本人が挑戦すれば、強いインパクトを残せるかもしれません。なにしろ、ハラナをやること自体がレアなので。
どんな曲を選ぶ?
そのむかし、ハラナに使われたのはスペイン語の曲だったそうです。
それがいつしか現地語になり、オリジナルソングをささげる男性たちも現れました。
今では、有名歌手のラブソングを選ぶことが多いようです。とくに欧米の曲が人気とか。
厳密なルールはないので、好きなラブソングを選べばOKです。
ちなみに、下の動画はハラナで使用される伝統的なラブソングの一例です。ちょっとメキシコ音楽を思い出します。
演奏のスタイル
現代のハラナの演奏スタイルは、大まかに2通りのようです。
- 1人で弾き語りをする
- ハラナをする本人が歌い、友だちに伴奏してもらう
むかしは、複数の友だちに様々な楽器で伴奏してもらうことが多かったと聞きます。
ハラナで友だちに協力してもらうことは、おかしなことではないそうです。
伴奏なしでやることもある
ハラナに使われる楽器といえば、なんと言ってもギターです。当然ですが、弾けない人も多いですよね。
友だちが弾ければお願いできますが、そういう人が見あたらないこともあります。
伴奏者をやとってもいいのですが、じつは工夫次第で伴奏なしでもハラナができることがあります。
実際にあった例で、友だち数人とアカペラコーラスでラブソングをささげた男性がいたそうです。
この男性は、楽器を弾ける人が見あたらないばかりか、楽器自体も手に入らなかったそうです。
注意点は、ハラナをする本人が必ずリードボーカルをすることです。
ほかにユニークなハラナの例としては、本人の歌にあわせて、複数の友だちがダンスするというのがありました。
ちなみにむかしは、歌のあとに、詩の朗読をすることもあったそうです。
何分間くらい歌う?
どのくらいの間、歌えばいいのでしょうか?
聞くところによると、だいたい3~5分ではないかとのことです。
女性が家に入れてくれ、リーガウするのをOKしてくれたら、ハラナ成功です。(答えがNOでも家に入れてくれることもあるそうです。)
もし無視されてしまったら、その日はあきらめます。
きっぱりと断られなければ、まだチャンスがあるかもしれないので、また後日トライします。
ところで、ハラナをする際は、お花や食べものなどの手みやげを持っていくのが習わしのようです。これについては、また別の機会に書ければと思います。