フィリピン人の多くがカトリック教徒ですが、他の宗教を信じている人たちもたくさんいます。そのなかには「セブンスデー・アドベンチスト教会」(Seventh-day Adventist Church/SDA)の信者さんたちも存在します。今回は、フィリピンの主にセブンスデー・アドベンチストについて書いてみます。
セブンスデー・アドベンチストとは?
セブンスデー・アドベンチスト教会は、1800年代のアメリカの「再臨待望運動」の際に起こった、キリスト教系の新宗教なのだそうです。信者をシンプルに「アドベンチスト」と呼ぶことも多いです。
土曜日を安息日(安息日は働きません)としているところなどはユダヤ教に似ていますが、教え自体はキリスト教プロテスタントに近いようです。見解によっては異端と言われていますが、いわゆる「カルト」とは違います。
フィリピン国内では、田舎や山間部を中心に現在も宣教活動が続けられているようです。
禁じられていること
セブンスデーアドベンチストで禁じられていることの例を挙げてみます。
まず、お酒やタバコなどが禁止です。お酒が飲みたくなるので、バーやクラブなどでもあまり遊ばないようです。
また汚れている(けがれている)という理由で豚肉、馬肉、犬肉、エビ、カニ、ロブスターなどを食べません。イカやタコなどの軟体生物もだめです。
「聖なる人体に汚れたものを入れてはいけない」という教えなのだそうです。
礼拝
フィリピンにはカトリック信者が多いですが、昨今はあまりミサに通わない人たちもいると聞いています。これに比べ、アドベンチストは毎週礼拝に出席する割合が高いようです。
安息日は世俗的なことから距離を置くことになっていますが、スマートフォンを使用するのは大丈夫らしいです。現代はスマホで聖書を読むことが普通になっているので、考えてみれば当然かもしれません。
キャンプ
セブ周辺のアドベンチスト教会では、毎年夏に地域の信者たちを集めて、数日から一週間くらいの期間で「ユースキャンプ」と呼ばれる行事が行われるそうです。聞くところによると、毎朝4時起きだとか…
キャンプ中には、事前に計画された「アクシデント」が起こることもあるそうです。例えば、夜中に誰かが心配停止になって倒れているというシチュエーションを作って、キャンプの参加者に対処させるのです。
こういった「アクシデント」は、いつ何が起きても対応できるようになるため、そして命の大切さを再確認するために仕掛けられると聞いています。
ちなみにキャンプには年配の方々は参加しないようです。スケジュールから考えても、ある程度若い信者さんたち向けのキャンプなのでしょう。
結婚について
セブンスデー・アドベンチストでは、違う信仰を持つ相手との結婚は許されているようです。ただ「喧嘩の種は多いかもしれない」と、信者の人が言っていました。
二人の間に産まれる子供も悩ましいかもしれません。まだ小さいうちは、土曜日はアドベンチスト教会、日曜日はカトリック教会というようにどちらも通うことが可能だそうです。ただ、いつかはどちらかの信仰を選ばなくてはならないようです。
もともと家族同士の関係が密なフィリピンですから、こういった決断ひとつで亀裂が生まれる可能性は十分にあるのかもしれません。
また機会があれば、フィリピンの他の信仰についても書きたいと思います。