フィリピン人家政婦と危険なトラブル【中東での事件】

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フィリピンは、国内外にたくさんのお手伝いさん(家政婦さん)たちを輩出している国です。

 

近年のフィリピンでは、お手伝いさんたちを「メイド」とは呼ばず、「ドメスティックヘルパー」(domestic helper)と呼ぶことが増えています。「メイド」と言う呼び方にはあまり良い印象を持たない人たちが多いようです。日本とは少し状況が違うみたいですね。

 

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中東で起きた事件

とても悲しいことですが、ニュースなどで中東で働くフィリピン人お手伝いさんの悲惨な状況が伝えられることがあります。本当は昔からいろいろな事件が起こってきたらしいのですが、ドゥテルテ大統領になってからこの問題が大きく取り扱われるようになったと聞いています。

 

クウェートで働いていたフィリピン人のお手伝いさんが冷凍庫の中で遺体で発見される、という痛ましい事件が起きた際は、加害者が雇い主だったため、フィリピン政府はクウェートで働くお手伝いさんたちを帰国させ、その旅費も負担するという行動に出たそうです。

 

またサウジアラビアでは、フィリピン人のお手伝いさんが女性の雇用主からむりやり漂白剤を飲まされ、病院に救急搬送される事件が起きたことがあります。こういった事件が中東では起こってきたのです。

 

危険なのになぜ行くのか?

「中東の家政婦は奴隷のように扱われる」とか「食事は一日一回で、ひどいものを出される」などのうわさは、フィリピン国内でもよく耳にするそうです。(もちろん、良い雇い主も存在すると思います。)

 

中東の国々には程度の差はあれど、性別、地位、人種、宗教などに基づいた激しい差別が存在することがあります。それでも(ドゥテルテ大統領が行動を起こす前の情報では)200万人以上のフィリピン人が中東で就労していたといいます。(お手伝いさん以外の職種も含んだ数です。)

 

なぜ中東でお手伝いさんとして働くフィリピン人がいなくならないのか?それは、お給料が良いからとも言われます。また、お手伝いさんの需要が高いので仕事が早く見つかりやすいことも理由にあがります。

 

お手伝いさんとして働く人たちの多くは貧しい家庭の出身者で学歴も乏しく、就労先の文化を良く知らないまま渡航してしまうことや、仲介する業者もリスクについてほとんど説明しないまま人材を送り込むこともあると聞きます。

 

一方で「リスクを知っていたとしても、家族に仕送りをするために中東に出向くのがフィリピン人の性格です」という意見もあります。

あるお手伝いさんのお話

お手伝いさんの就職先としてリスクが高い国として、サウジアラビア、クウェート、ドバイ、レバノン、イランなどの名前が挙がることがあります。もちろん悪い雇い主ばかりではないはずですが、なかには逮捕される可能性を知りながらも危害を加えてくるような雇い主もいるらしいです。

 

私がお話しを聞いた人のお姉さんも、クウェートでお手伝いさんとして数年間働いていたそうです。家族の生活と学費のため、家族の猛反対を押し切っての渡航だったそうです。

 

休日は無く、夜の12時に寝て早朝4時に起きるような生活だったそう。プライベートでも外出はできず、雇い主のお伴として出かけるだけだったといいます。また、肌の露出をしないよう細心の注意を払いメイクも禁止でした。肌の露出は宗教的な理由だとしても、メイクも禁止というのは個人的にはちょっと不思議な感じがしました。

 

この例より悪いケースはいくらでもあるらしいです。「うちのお姉さんは強い女性なので、雇い主もあまり酷いことができなかったのかもしれない」と言っていたのが印象的でした。このお姉さんはフィリピン人男性との婚約を機にやっと帰ってきてくれたそうです。

 

男性も強要の標的になりうる

中東では女性だけでなく男性の就労者にもリスクがあると聞いています。男性も性の対象として現地の男性から強要され、危害をこうむるケースがけっこうあるらしいです。

 

ゲイというよりも、昔から日本にある「男色」(だんしょく)という言葉のニュアンスの方がアラブの状況に近いのかもしれません。(どちらも違いはない、と言われればそうかもしれません。)性的指向は自由なので同意があれば問題はないと思いますが、出稼ぎ労働者は立場が低く見られることが多いため強要されることがあるらしいです。

 

このリスクを回避するために、中東で働くフィリピン人男性は髭を生やしたり、体を鍛えて、男くささをアピールするという噂もあります。効果があるのかは少し疑問ですが。

 

 

帰国しないお手伝いさんもいる

クウェートのお手伝いさんたちのお話に戻りますが、フィリピン政府が打ち出した帰国政策に加わらなかった人たちも全体の40%ほどいたそうです。良い雇い主に恵まれていたのかもしれないし、扱いは良くないけどお給料が高かったなど、様々な理由が考えられます。

 

ただし、中東では主人が住み込みのお手伝いさんのパスポートを取り上げてしまうことが珍しくないと聞きますので、それが原因で帰ってこられなかった人たちもいたかもしれません。

 

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「使用人」というイメージ

とあるフィリピンのテレビ番組で、出演者の半分ほどがお手伝いさんとして残り半分の出演者のお世話をしなければならないシーンを見たことがあります。お世話される側の数人は泣いていたようでした。

 

恐らくですが、友達のような存在だった他の出演者たちが自分たちのお手伝いさんとして「仕えている」ことが、(番組の企画とは言え)申し訳なくて泣いたのではないかと思います。もし日本の番組で同じようなシーンがあっても(少なくとも現代の日本人が)これほど感情的になることは考えにくいと思います。彼らのリアクションから、いわゆる「使用人」の立場の人たちがフィリピンでどのように見られているかが少しだけ分かった気がしました。

 

ただ、当の本人たちがそれほど自分たちの立場を下に見ているかはよく分かりません。家族のためにプライドを持って堂々と働いている人たちもいるのではないかと思います。このあたりの感じ方は歴史や文化の違いもあると思うし、深く考えるほど哲学的な問題になりそうで、とても難しいです。個人的には、家族のために大変な環境で働く人たちに対して敬意しかありません。

 

一つだけ確実に言えることは、フィリピンの人たちにとって「使用人」というステータスの話題はセンシティブになりうるということです。ある国の辞書に「フィリピン人」という言葉の意味として「使用人」と書かれている、と学生時代に教わったという人もいます。この話しには驚くばかりでしたが、当然、話しをしてくれた本人もひどくプライドを傷つけられたようです。

 

地位の低い出稼ぎ労働者ばかりではない

念のため、学位を取得して会計士やエンジニアなどの仕事をしているフィリピン人出稼ぎ労働者も少なくないことを書いておこうと思います。

 

例えばサウジアラビアでも、専門性が高い仕事や社会的地位の高い仕事をしているフィリピン人は、フェアに扱われる傾向があると聞いています。中東の裕福な国であれば、一般的な日本人より稼いでいるのではないでしょうか。同じフィリピン人なのに、そこまでの格差があるのかと思うと驚きです。

 

差別は世界中に存在しますが、個人的には女性が現代の中東で地位の低い職業につくのは危険と感じています。お給料の額は少し減っても、基本的な人権が守られる場所を探して行ったほうがいいはずです。

 

日本人も差別の問題と無関係ではありません。私も海外を旅することがあれば自分の人権がどの程度守られる国なのか、チェックしてから渡航したいと思いました。

 

 

日本とフィリピン人のお手伝いさん

昨今では、日本でもフィリピン出身のお手伝いさんを採用する向きがあります。日本では彼女たちの人権や安全が確保されることを祈ります。

 

ところで、フィリピン人がフィリピン人のお手伝いさんを雇うこともよくある事のようです。この場合、単なる使用人という扱いではなく、「カサンバハイ」(一緒に住む人/kasambahay)として家族の一員として接する家庭もあるそうです。日本でもそんな風に温かく迎え入れたいですね。

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