フィリピンの人たちと話をしていると、ドゥテルテ大統領の支持率が高いことがよく分かります。
ミンダナオ島のダバオ市では、支持率はさらに高くなります。ダバオ市はドゥテルテ大統領が長年市長を努めた土地で、彼の業績が高く評価されているからです。
しかしアメリカの元大統領オバマ氏への暴言が問題になるなど、ドゥテルテ大統領は口が悪いことで有名です。また、中国との政治的な駆け引きも気になるところです。
訪日した際もその言動に注目が集まりましたが、天皇陛下への予想外の敬意ある態度に少し驚いた方も多いのではないかと思います。
世界的には、物議をかもす言動で知られる暴れん坊のようなイメージの大統領ですが、フィリピンの人たちに聞くと、違う大統領の姿も見えてきます。
ドゥテルテ大統領一家
現在のダバオ市の市長は、大統領の娘のサラ・ドゥテルテ氏がつとめています。2017年の末ごろまでは、副市長を息子のパオロ・ドゥテルテ氏が務めていました。この一族の人気の高さと権力がうかがえます。
大統領の息子、パオロ・ドゥテルテ前副市長はすでに辞職してしまったのですが、反社会的なグループとの関係についての疑惑があったようなので、ちょっと驚きです。それでも大統領への民衆の支持はさほど揺るがなかったのです。

危険を顧みないドゥテルテ大統領の行動
大統領が市長を務めたダバオの市民によると「彼は厳しい面もあるけど、歴代の大統領の中で最高の大統領です!」と誇らしげに言っていました。
彼女は、なんとドゥテルテ氏と直接会ったことがあるそうです。その時の、ちょっとびっくりするような話を聞くことができました。
大統領がまだダバオ市長だったころ、なんとタクシーの運転手に扮して頻繁に街をパトロールしていたというのです!
ある日彼女が1台のタクシーに乗り込んで、何気なくドライバーの顔を見てみると、運転手がドゥテルテ氏だったそうです。
彼女の家はドゥテルテ氏の家の比較的近くにあるため遭遇する可能性はあったのですが、それでもとてもびっくりしたそうです。その後目的地へ到着し、きちんと料金請求されたそうで、普通の運転手と同じように営業していたのも面白いと思いました。
ドゥテルテ氏がこのようにパトロールしていたことは地元ではけっこう知られていたそうです。市長時代から市政改革を非常に厳しい姿勢で進めていた氏には、身の危険が迫っていたことを考えると、並外れた勇気と行動力に本当に驚きます。
大統領は現在でも、毎週のようにマニラからダバオに帰っているらしいです。超大物になっても引っ越さないので、市民は益々親しみを感じていることでしょう。
なんと今でも、たまにバイクに乗ってパトロールをするそうですが、さすがにボディガードがついて回っているそうです。
ダバオ市のストリートチルドレン
ダバオ市はフィリピン国内で治安の評判が非常に良いので、実は私も行ってみたい場所のひとつです。しかし残念ながら、この街にもストリートチルドレンが未だに存在しているそうです。
驚いたことに「ストリートチルドレンって、ほんの些細なことでも嬉しくなれるのだから、一番幸せな存在だと思いませんか?」と言ってきたフィリピン人がいました。
私は「彼らは様々な危険にさらされて生きているのにな」と思いながらも、考え方や生きてきた環境は人それぞれなので、何とも言い難かったです。ただ、そういう考えの人がもし多いとしたら、ストリートチルドレン撲滅には時間がかかってしまうかもしれないと思いました。