今回は、シキホール島(シキホル島/Siquijor)についてです。
フィリピンには7000以上の島がありますが、その中でもシキホール島は特別な島といえるかもしれません。魔術の島として知られているからです。
シキホール島はどこにある?
シキホール島は、フィリピン・ビサヤ地方にあります。
下の地図でみるとわかりますが、ネグロス島、セブ島、ボホール島、ミンダナオ島に囲まれた位置です。
伝統的な「ヒーラー」がいる
フィリピンには土着の信仰がのこっていて、マッサージやお祈り、薬草などを使って民間療法を提供しているシャーマンのような人たちがいます。
完璧なバイリンガルのフィリピン人に聞いてみたことがあるのですが、英語では「ウィッチドクター」(witch doctor)が意味的にしっくりくるそう。
地元では、クワックドクター(quack doctor)とか、ヒーラー(healer)とよばれるようです。この2つがまったく同じかは分かりませんが、どちらも治療する人であることはまちがいないです。
実はこうした人たちは、探せばフィリピン全土にいます。
ただし、シキホール島ではヒーラーをもとめる観光客がふえたため、ニセモノがふえているそうです。
地元民の情報によると、本物のヒーラーは山に住んでいることが多いようです。「年配」で「使い古したTシャツ」を着ているようなヒーラーを探すとよいとの情報もありました。
黒魔術師がいる?
「ヒーラーやクワックドクターは、探せばフィリピン全土にいる」と言いました。
では、シキホール島のなにが特別なのでしょうか?
それは、魔術(とくに黒魔術)を使う人がいると信じられていることです。
ウィキペディアによると―
- 黒魔術/ブラックマジック = 他人に危害を与えるための技。不道徳な魔術を呼ぶ際の蔑称。 自己の欲求・欲望を満たすために行われる魔術のこと。
- 白魔術/ホワイトマジック = 好ましい目的に使われる魔術、魔法。
本当に黒魔術を使う人がいるかどうかは別として、「黒魔術が使われる島」というイメージから、シキホール島を怖がるフィリピン人もめずらしくないです。
じつは黒魔術、または呪いのようなものをかけられたという話は、フィリピン各地の人達からけっこう聞く話でもあります。
(だからシキホール島に黒魔術師がいたとしても、ここに限った話じゃないのでは?と個人的には思ったりもします。じっさい、ボホール島の黒魔術師のうわさも聞いたことがあります。)
黒魔術師に会ったことがある人に、私自身は出会ったことがないです。なので、ただの憶測ですが、探せば黒魔術師を名のる人はきっといると思います。
ただし、見つけられるかもあやしいし、効果もわからないし、高額を請求されるかもしれないし、何より怖いですよね。
黒魔術の依頼は、代償がともなう
ここまで読んで、黒魔術にちょっと興味がわいてしまった人もいるかもしれません。
実は、黒魔術は危険がともないます。
聞いた話ですが、黒魔術を依頼した本人には、代償として数年間悪いことが起こりつづけるそうです。これを受け入れる覚悟がなければ、人を呪うことはできないということです。
【ほれ薬】が有名!おみやげにも
シキホール島は、惚れ薬(ラブポーション/love potion)でも知られています。
日本では、媚薬(びやく)ともよばれます。シキホール島が位置するビサヤ地方では、ガユマ(gayuma)とよばれたりするらしいです。
じっさいに効果はあるのでしょうか?知り合いのカップルが、ほれ薬を使ったという人にきいてみました。
そのカップルは、ほれ薬のおかげでめでたく結婚したそうです…が、その後、別れたそうです。「惚れ薬の効果が切れてしまった」と言っていたとか。
こういうものって、たとえ効果があっても証明しようがないからむずかしいです。
シキホール島には、ほれ薬を買えるお店もあるようです。おみやげ用の品質はよく分かりませんが、ユニークなおみやげにはなりますね。
おみやげといえば、ブードゥー人形(Voodoo dolls)も売っていて、キーホルダーにもなってるそうです。
ホンモノのほれ薬
以前は、腕のいいヒーラーが効果のある惚れ薬をつくっていたと聞いています。
ところが最近は、観光客相手の偽物ヒーラーがふえ、効果のない惚れ薬が島のあちこちで販売されているのだとか。
そこで、地元の人からチラッと聞いた情報をかいておきます。
たしか、4月のホーリーウィーク期間中だったと思いますが、バンディラン山自然公園(Mt. Bandilaan National Park)では、本物が入手できると言っていたと記憶しています。ただし、すみませんが、保証はしかねます。
見どころ
シキホール島の自然はとても美しいと評判です。
樹齢400年の「バレーテツリー」や、水場に生息し足の角質を食べてくれる「ドクターフィッシュ」、カンブガハイ滝(Cambugahay Falls)や美しいビーチなどの観光スポットがあります。
治安はというと、「心優しい島民がいるいっぽうで、ひったくりをする人もいるから、気をつけたほうがいい」と地元の人が言ってました。
地元自治体でもそれなりに対策をこうじてはいるらしいです。
シキホール島の異名
シキホール島には、ニックネームがあります。「リトル・ボラカイ」(little Boracay)や「火の島」(island of fire)などです。
「リトル・ボラカイ」は、美しい白砂で有名な「ボラカイ島」からきていて、シキホール島も白砂が美しいため、その名がついたそうです。
「火の島」の由来は、人によって説明が違うのですこし混乱ぎみです。
「侵略者が遠くからシキホール島を見た時に、火が灯っているように見えたから」と、私は教わりました。実際は、この「火」はホタル(fireflies)だったとか。
現在でもホタルはいるようですが、観光開発が進められているので、将来的にはどうでしょうか?
シキホールの未来
多くのフィリピン国民が、キリスト教などの信仰を持ちながらも、心のどこかで土着の信仰をうけついでいます。なので、ほんの数年前まで「シキホール島は怖いから行きたくない」と言うフィリピン人がすごく多かったです。
それが今や、「家族や知り合いがシキホールに行ってきた」という人も珍しくなくなってきたように感じます。
シキホール島は、外国人の観光地や移住先として人気が高まっています。そこに、さらに国内需要が加わって、今後もますます開発が進んでいくのではないかと予想します。